Faulnis - Snuff//Hiroshima
ドイツのブラックメタル、2014年作3rdフル。言わずと知れた?自称Sick Black Artの人たちの新作。ColdDimensionsからリリースされた。
タイトルからして日本人的にどうなのよ、て思ってしまう新作。この人たち前作もジャケが歌舞伎町だったし、日本好きなのだろうか。
内容は前作同様、ドイツ産らしい儚げかつ神秘的なブラックメタルを基軸に、ロック、ドゥームの側面を見せるブラックメタル/ロックをプレイ。ただ前作に比べてドゥーミィーなテイストは控えめで、ブラックメタルとロックの色が強い。
またいずれの曲も4分〜6分程度とコンパクトにまとめられており、聴きやすい。
いずれの曲でも上記のような雰囲気を楽しめるが、3曲目"Distanzmensch, verdammter!"、4曲目"Abgrundtief"ではより儚げなロックテイスト溢れる曲を堪能できる。
5曲目"Paranoia"では鬱ブラックのようなメランコリー溢れる儚げなトレモロリフが素晴らしく、ブラスト疾走展開もありよりブラックメタルに近い曲か。6曲目"Durch die Nacht mit..."もそんな感じ。
儚げなブラックメタルとロックをうまく融合させた快作。前作以上に儚げなテイストが増しており、またブラックメタルに重きを置いている気がして、とても楽しめた。さすが?Sick Black Artである。
Snuff//Hiroshimaというふざけたタイトルながらも、曲に悲哀が現れている気がした。何を歌っているのか歌詞が気になってきた。
相変わらずのSick Black Art...!
Rimruna - Frostbann
ドイツのブラックメタル、2014年作1stフル。8曲1時間5分の大作。
Drengskapurの中の人がやっている別バンド。自主制作500枚限定。バンドから購入することができる。
内容は、Drengskapurからペイガン要素を抜いたとでも言えばいいか、寒々しいストレートなブラックメタル。
2曲目"Erkaltet"、3曲目のタイトルトラック"Frostbann"、7曲目"Die Sage vom ewigen Eis"では北欧ブラックのような寒々しさで突っ走るパートをベースにジャーマンブラックらしい湿り気あるメロウなトレモロリフが聴かれ、大変良い。特に3曲目の要所要所で聴かれるメロウなリフがとても琴線に触れる。
5曲目"Eisiger Sturmwind"は他曲のような疾走展開とミッドテンポの展開が入り組み、そこに湿り気あるメロウなリフが聴かれ、大変素晴らしい。
曲自体はどれもかっこいいのだが、ほぼ同じ疾走スタイルで1時間以上なので聴き通すのに疲れてしまった。曲によって起伏があるともっとよかったなぁとちょっと残念。まぁこれはDrengskapurも同じなんだけども。
最初に言った通り、Drengskapurをよりストレートなブラックメタルにしたサウンドなので、Drengskapurが楽しめるなら間違いなく楽しめる(狭い
寒々しい
Kermania - Kehre Heim...
ドイツのブラックメタル、2014年作2ndフル。元Nagelfarのメンバーがやっている。ドイツのVan Recordsよりリリース。
新譜が出る出る言われておよそ一年近く、ようやくリリースされた。
神秘的かつアトモスフェリックな荘厳な雰囲気でミッドテンポで仰々しく進行する。どこか憂鬱で湿り気あるサウンド、そこにブラックメタルVoと男性クリーンVoをうまく使い分け、シリアスなペイガンブラックを披露。
前作のような大曲はなく、5分〜10分程度とコンパクトにまとめられているものの、まったく気にならない。
タイトルトラックの"Kehre Heim"、続く2曲目"Holde auf seidnem Fuss"あたりはペイガンブラックらしい仰々しさが強いが、3曲目"Kalter Nebel"、4曲目"Der Bucklige Kenecht"や5曲目"Ungewohnte Last"では悲壮感漂うアトモスフェリックな展開が主体。個人的にはこちらの方が好みか。Voの出番が少ないが、いずれも絶妙なタイミングで絶叫Voが入る。神秘的な楽曲がじっくり聴かせる。
前作に比べて疾走展開が無くなってしまったが、楽曲が持つ幻想的かつ神秘的な雰囲気は健在。ペイガンブラックの要素が強いトラックはフィンランドのMoonsorrow辺りを彷彿とする。神秘的かつアトモスフェリックな展開はレーベルメイトのThe Ruins of Beverastに近いか。TROBをよりメロウに仰々しくした感じというか。
長々と待った甲斐があった快作。
これしかなかった
2周年
そういえば先週の12月10日に本ブログが2周年となりました。
特になにかするわけではないですが、来年も引き続きジャーマンブラックだけしか紹介しないようにしたいと思います。
Black Autumn - Loosing the Sun
ドイツのブラックメタル、2014年作。Rain without End Recordsというところから、350枚限定リリース。bandcampでも購入可能。自分は後者で購入した。
内容は相変わらずのアトモスフェリックブラックドゥームなサウンド。重苦しくも憂鬱かつメロウ、アトモスフェリックな雰囲気で展開する。どの曲でもピアノの寂しげな音色が聴かれ、これが大変琴線に触れる。
3曲目"Laetitia"では重苦しい展開から途中ブラスト疾走したりしてかっこよい。4曲目"From Whence We Came"では後半でジャーマンブラックらしい湿り気ある憂鬱なトレモロリフが聴かれ、なかなかぐっとくる。
あまりジャーマンブラックらしさはないブラックドゥームといった感じ。またブラックドゥームのカテゴリでおもしろいことやっているかというとそうでもなく、割とストレートなサウンド。悪くないけど、絶賛するほどではないといった印象。
ドゥーミーな音ながらも一曲6分程度と短くて聴きやすいのは良いがドゥームとしてはどうなんだろう。
youtubeなんか見当たらなかったので割愛。
Lam - Mortichnium
また間が空いてしまいましたが、またぼちぼち。
ドイツのブラックメタル、2014年作1stフル。Into Dungeon Recordsよりテープでリリースされた。またbandcampでもNYPで購入することができる。自分は後者で購入した。
ちなみに名前がとっても似てるが、ポストブラックのLiamとは違うので注意。
内容は、一言で言ってしまえば、2014年初期Odalフォロワー最前線。
寒々しくも湿り気あるメロウなトレモロリフ、疾走展開が主体の、まさに初期Odalサウンド。
この手のプリミティブブラックの割にベースがしっかり聴こえる上に、スウェーデンのNasheimを彷彿とするリフがかなり琴線に触れる。
またVoもブラックメタルなガナリVoとデスメタル的なグロウルが聴かれるのも面白い。
一曲あたり5分〜6分程度なのもまた聴きやすく○。
特に3曲目"On Time"あたりが耳に残る。湿っていながらも荘厳な雰囲気がとても素晴らしい。ラスト一分に急に展開するところも良い。
また4曲目"Destroyer"は唯一の10分越えの大曲ながらも、変わらずの疾走展開。ラスト2分くらいでドラマティックに展開するところが大変かっこよし。
メロディやリフはどこかで聴いたことがあるようなものが多いものの、その完成度の高さからか、ジャーマンブラックが好きな自分としては琴線に触れた。
ただ曲の長さに依らず疾走展開一本調子なので、少し金太郎飴感がしたのがちょっと残念。
近いバンドはまさに初期Odal。Odal万歳。
なので2000年代初期〜中盤あたりのジャーマンプリミティブブラックが好きなら楽しめると思う。
ロゴがダサいのも当時らしいというかなんというか。
Cruda Sorte - Innozenz
ドイツのブラックメタル、2014年作1stフル。Misanthropic Pathの人とVeineliisの人がやっているバンド。
先日Veineliisとスプリット出したことからも関係が深いのだろう。
本作はbandcampで購入した。ちなみにbandcampで買うとtapeを無料で送ってくれる。
ジャーマンブラックらしい湿り気のあるトレモロリフをベースに展開するオーソドックスなプリミティブブラック。
基本的には暗くモノクロームなトレモロリフで展開するわけだが、要所で薄っすらとメロウなリフを入れてくるあたり、とてもにくい。こちらとしてもそういうのが大好きなわけだが。
一曲目"Innocentia"はまさにそんなスタイル。
二曲目"Exsolutio"あたりではどこか胡散臭い展開を入れてきたりするも、暗く、どこか荘厳に展開するスタイルは変わらず。
三曲目"Confessio"のラストの胸を締め付ける寂寥感が強くなる展開が良い。いままでの暗い展開からの対比がぐっとくる。
四曲目"Barathrum"、五曲目"Declaratio"は寂寥感控えめかつ湿り気ある疾走展開が主体で、これぞジャーマンブラックといった様相で胸を締め付ける。
なんというか、(いつものことだが)多くの人にアピールできるような作風ではない、玄人好みのプリミティブブラック。
近いバンドとしては、Drengskapur、Rimruna、MembarisやWeird Fateあたりの無骨なジャーマンブラックをやっているバンドを思い出す。
これらのバンドに近いということ、そしてあまり色気を出すようなスタイルではないので、W.T.C.あたりが拾ってくれるのではという気がしている。
派手さはない!