Trauer - A walk into the twilight
ドイツのブラックメタル、2016年作2ndフル。同郷のNihilstische Klangkunstよりリリース。同じタイミングでフルアルバムをリリースしたKerker、最近音沙汰がないTodesklut、Todessehnsuchtのメンバーが絡んでいる。
2014年にリリースした前作の感想
(http://somberatmosphere.hatenablog.com/entry/20150219/1424360544)
でも似たようなこと書いてるが、彼の作品は昔から好きなので追いかけているわけだ。
今までどおりの湿り気溢れるDSBMなとこは相変わらず。
これまでの作品と大きく違う点としては、長尺の曲がなくなったこと。全部10分以内に収まっている。
また、今までの作品以上にわかりやすくメランコリックかつ寒々しいギターのトレモロリフを聴くことができる。
2曲目"A servant to the desert"。
Kerkerのようなモコモコした音質悪いプリミティブブラックっぽさを感じる。ブラスト入ってきたりして、え、あれ!?Trauerどうしたの?ってなる。
と思いきや、Xasthurを彷彿とする不穏な空気を纏ったアトモスブラックが主体な曲に様変わり。
Xasthurフォロワーは星の数ほどいると思うけど、Maleficのあの不穏なアトモスフェアを出しているバンドあまり思いつかないから結構びっくりしてる。
Xasthurの不穏感をバックにしながら徐々に悲壮感溢れるギターのトレモロリフが空間を支配していく。じわじわくるこれがまたいい。
"Walking in the twilight"。Kerkerみたいなモコモコした音質でツタツタ疾走する展開が多いが、メロの殺傷能力がこちらの方が断然強い。
これに加え、悲しげなアトモスフェアを纏いつつもアルペジオで奏でるしっとりとした展開、寂寥感全開のトレモロリフで聴き手を殺しにかかる展開。ころころ魅せる顔が変わる。
そしてそれを踏まえたラスト1分ちょいの疾走パート。これが強烈。メランコリーが炸裂している。
続く"Procession in the fog"。
逼迫した絶望感しか感じられない。
2016年にしてここまで追い詰められるDSBMを聴くことができると思わなかった。絶望・寂寥感。この言葉でしか形容できない。スローパートからの疾走パートのギャップがほんと強烈。
そして"When our heartbeats counting down"で死ぬ。Cry till Die。
これまでのBurzumish BMから脱却し、よりアトモスフェリックに、よりメランコリックに進化した。2016年にしてDSBMの傑作が来たわ。
ざっとまとめると、Xasthurの持つ不穏な空気感と殺傷能力高いメランコリックなメロディが同居したPrimitive/DSBM。
間違いなくかっこいいんだけど、Kerkerのスタイルに似通ってきた側面もあるので、うまくスタイルを使い分けて欲しい気持ちもちょっとあった。
初期Xasthurの不穏感+湿度高いメランコリックDSBMが好きな人は絶対楽しめると思う。
新しいことは特に感じないが、ここまで殺傷能力を高めてきたか、と。感服。
Cry Cry Cry... Die.