Somber Atmosphere

ドイツのブラックメタルの感想を載せています

Silent Thoughts - Into Empathy

ドイツのブラックメタル、2013年作CDEP。7曲28分。同郷のDer neue Weg Productionsよりリリースされた。このレーベルはほんと個人的にツボな音源ばかりリリースしてくれる。EpiphanieやEurythmieなどのメンバの独りバンド。2014年から新たに一人加わったようだが。

アーカイブスでは鬱ブラックとなっているが、終始スローパートで鬱屈に進行するスタイルではない。鬱屈感と寂寥感の両方を感じさせるトレモロリフで疾走するパートが主体で、時折胸を締め付けるメロディでスローに進行するパートが入る。メロディの甘さも控えめで、さすがジャーマンブラック。

一曲目"F92.0"ではその様相が顕著に聴かれる。特にラスト一分の疾走展開にメランコリックなトレモロリフを奏でるギターを重ねてくるところが大変琴線に触れる。

三曲目"The Last March"などは、寒々しく疾走しつつも胸を締め付けるメランコリックなメロディが支配的な素晴らしいトラック。寒々しさと寂寥感が共存したドラマティックなサウンド。もう少しドラムが前に出てきてもよかった気がするけど。続く四曲目"Intruder"も同様のスタイル。

六曲目"Into Empathy pt.2"ではポストブラック寄りのアプローチをしている印象を受ける。とはいえオシャレな感じとは違っており、どこか爽やかな、諦めてしまったが故の明るい絶望感を感じる。

というわけで鬱ブラックというよりは寂寥感あるオーソドックスなジャーマンブラックといったほうが正しい気がする。Der neue Weg prod.が好きそうな音だと感じた。このレーベルが抱えてるバンドの音源が好みであれば(Northern Hate、Nemesis Sopor、Idisenfluch、Epiphanieとか)、本作も楽しめる。

華はないけど、ストイックで大変よいよい