Somber Atmosphere

ドイツのブラックメタルの感想を載せています

Zeugen der Leere - Seelenwanderer

ドイツのブラックメタル、20014年作。bandcampで購入することができる。元はRuin of Remembranceというメロディックデスメタルバンドだったようだ。

Empyriumを彷彿とする弦楽器?Key?、アコギ等によるフォーキッシュな音色をバックに、ドイツ産らしい湿ったメランコリックな、そして神秘的なトレモロリフで進行するスタイル。またブラックメタルな絶叫VoとクリーンVoをうまく使い分ける。

このEmpyrium万歳な寂寥感が強いフォーキッシュな展開、そして突如ブラスト疾走で切り込むブラックメタルな2曲目"Der Seelenwanderer"が非常に素晴らしく、大変琴線に触れる。後半の寂寥感は強くもエピックに展開していく様も大変良い。
弦楽器の寂しげな音色、アコギの効果的な利用、そしてドラマティックに爆発するパートなど、カナダのGrisの2nd「Il etait une foret...」の名曲、"Veux-tu danser?"を思い出した。

次曲"Anomie"はブラックメタルの割合が強い。神秘的な雰囲気は保ちつつもドラムがひねくれた叩き方をしていてとても好感が持てる。同郷のAgrypnieを思い出す。そのせいか、プログレッシブな印象すら受ける。そしてラスト1分の高音トレモロリフでドラマティックに加速していく様が非常に素晴らしい...

7曲目"Tanzer im Nebel"あたりではトレモロリフの寂寥感がこれまで以上に強く、ドラマティックに展開する。これまた自分の琴線に触れる。
そして曲を追うごとにどんどん荘厳さ、寂寥感が上がっていく。8曲目"Untergang"、9曲目"Canis Majoris"などこれでもかというほど。
10曲目"Komplex der Vergessenen"は、ブラストで切り込む展開が多く、荘厳さ、神秘的な雰囲気は保ちつつもブラックメタルな側面が強い一曲。

また関連バンドであろうか、Erkryssというバンドの曲をカバーしている。原曲を聴いたことないが、これまた素晴らしいメロウなブラックメタルでとても楽しめる。

弦楽器、ピアノ等の音色を効果的に使い、フォーキッシュ、アトモスフェリックに、ときにプログレッシブに展開する一筋縄じゃいかない、しかしながら非常に完成度の高いブラックメタルをやっている。

近いバンドとしては、上述したように、寂寥感強いフォーク系の展開では同郷のEmpyriumを、ひねくれた展開が同郷のAgrypnie、またカナダのGris、Sombres Foretsあたりの神秘的なアトモスフェリックブラックに似た印象をかなり受けた。

このようなアトモスフェリックながらもプログレッシブ、アヴァンギャルドなジャーマンブラックメタル/ダークメタルが好みなら間違いなくオススメの作品である。

こういうバンドが出てくるからジャーマンブラック聴くのを止められない。