Somber Atmosphere

ドイツのブラックメタルの感想を載せています

Bann - Antiochia

ドイツのブラックメタル、2007年CDEP、な割に3曲33分。2006年に自主制作されたやつを2007年にGrief Foundationというよく知らないレーベルが再発したもの。

次作1stフルではネオクラシカルな方向に全力で傾倒してしまったBannだが、本作ではネオクラシカルなテイストは控えめで鬱系アンビエントブラックメタルをやっている。

1曲目"Allerwachen"では、Xasthurを彷彿とするような陰鬱でアトモスフェリックな質感を保ちつつゆったりと進行する。本作では弦楽器が多用されているのだが、これが寂寥感を強調している。ノイジーなギターをバックに冷たい弦楽器の音色が悲しいメロディを奏でる。アトモスフェリックな質感は保ちつつもスローなパートから疾走パートへ展開したりもする。

弦楽器がフィーチャーされているブラックメタルというとデンマークのAngantyrを思い出すが、彼らのように仰々しく展開するのではなく、こちらはただただ寂しい。どちらかというと同郷のEmpyriumやあオーストリアの中〜後期Dornenreich(2005年〜2008年あたりのアトモスフェリックロックに傾倒していた頃)を思い出す。

2曲目"Aber aus der Asche wird ein Schwan entstehen"では鬱屈としたノイジーなギターに加え更にピアノが追加されている。また疾走展開も1曲目に比べて多い。Empyriumのようなしっとりとしたフレーバーは残しつつも違った顔を見せてくれる。

3曲目のタイトルトラックはこれまでの2曲に比べずっと地味にモノクロームに展開する鬱屈としたブラックドゥーム。

という感じで次作のネオクラシカル万歳な割とユニークなブラックメタルに進化する片鱗は感じさせてくれるアンビエントブラックメタル
Empyrium辺りのしっとりとした側面を持ったアトモスフェリック鬱ブラックと言えばいいか。

このトラックがやはり一番ユニーク