Somber Atmosphere

ドイツのブラックメタルの感想を載せています

Kermania - Ahnenwerk

ドイツのブラックメタル、2006年作。元NagelfarのメンバがやってるドイツのレーベルVANよりリリース。
近々新譜が出る出ないという噂が一部であるということで、久々にこの音源を紹介。

4曲のうち2曲が20分越えで、残り2曲が数分。この大作2曲がメインといっても差し支えない。1曲目の"Schwertes Schaerfe Beichtgesang"、3曲目"Heimatferne Rast"がそれに相当する。

神秘的かつ悲壮感漂うリフが霞がかった雰囲気を演出し、そこに遠くから聴こえてくるようなVoが絡む。基本的にスロー〜ミドルテンポで進み、アトモスフェリックかつ荘厳な雰囲気が下地にありつつも時折Moonsorrow的な印象を受ける。
また全編スロー〜に進行するわけではなく、要所要所で疾走する。この神秘的な雰囲気で疾走する様はNagelfarを彷彿とする。また程好く劣悪な音質が荒涼とした雰囲気を感じさせる。特に3曲目の方は薄っすらメロウな疾走展開が多めでとても素晴らしい。

2曲目"Veitersberg 1487"は10分に届かない短い曲だが、こちらは疾走メインの曲。やはり同様に程好く劣悪な音質で荒涼感を出しつつも神秘的な雰囲気を感じさせる。ドイツ産特有のどこかメロウなところがとても琴線に触れる。
また4曲目タイトルトラック"Ahnenwerk"はアウトロ的な立ち位置か、クリーンVoでミッドテンポで進行する。

幻想的かつ神秘的な雰囲気を持つ大作曲がメインでありつつも、その根幹は紛うことなきジャーマンブラックであるといえる。大作かつ仰々しい展開なところはレーベルメイトのThe Ruins of Beverastあたりを思い出す。疾走部分はNagelfarの1stや2ndが好きな方は楽しめると思われる。

こういう一聴しただけではわからないがじっくり聴くとその良さが染み出てくるところがジャーマンブラックの醍醐味なんだなと思わされる。

21分ある大曲だが、やはり本作を代表するトラックかと。