Somber Atmosphere

ドイツのブラックメタルの感想を載せています

Irrlycht - Schatten des Gewitters

ドイツのブラックメタル、2011年作1stフル。CaedesやVargsangの人が絡んでるバンド。なんかNehemahやNaharやってたフランスのsorghalさんも加入してたようで。
Undercover Rec.よりリリース。これより前の時期からUCRはブラックスラッシュばかりリリースしてるのでちょっと異色なリリースだなと思った記憶。

これぞジャーマンブラックメタルの王道、薄っすらメロウなリフを奏でながら寒々しく疾走するブラックメタル!本ブログで紹介するような地味なやつよりも気持ち派手目のメロウなリフが聴かれ、とっつきやすいと思われる。多分。

1曲目"Sturmflut"でいきなりそれを堪能できる。途中で転調しオールドスクールノルウェイジャンのような展開になるのも暴虐的で非常に良い。そして序盤よりも一段メロウになり、初期Odalに近い印象。
また音数の多さはギターが2本いる故であろうか。ベースも寒々しく主張しており、ブラックメタルとしての完成度の高さを伺える。
展開をしながらも5分強で曲を終えるあたり冗長さを根こそぎ落としたかのようなストイックさを感じることができる。

続く"Seelenglut"は前曲に比べて気持ち色気が控えめのストイックさが前面に出たサウンド。ギターが2本いるのがほんと大正解、2本のメロウなトレモロリフが追いかけるように被さり疾走する様は鳥肌ものである。
Voもブラックメタルながなり声とデスメタルのようなグロウルを使い分け、表現力豊かである。

同様の寒々しい展開をベースにしつつも、ドラマティックに瞬間的に突き上がる"Burning Moon"、オールドスクールに徹頭徹尾寒々しく突っ走る"Das Grauen"、更に地味さが加わった(褒めてる)"Staring into the Abyss"、ジャーマンブラックらしさにDsOの混沌さを突っ込んだ"Le dernier Jugement"、"Schatten des Gewitters"など、全編通して楽しむことができる。

ジャーマンブラックメタルど真ん中、Odalらしいメロウな展開あり、Lost Life、Camulosのようなオールドスクールな展開と、いいとこ取りしたかのようなサウンド。
そしてそれと同時に主張する古きよきノルウェイジャンブラックが持つ寒々しさとアグレッションが聴かれ、初期ブラックメタルを踏襲した音作りをしてるんだなと感じさせられる。勢いと混沌さから近年のDsOっぽさも垣間見えたりする。かなり完成度高し。

ジャーマンブラックメタル云々の前に地味だけど完成度の高いオールドスクールブラックが好きなら間違いなくオススメできる一作。


ギター2本いる恩恵を堪能できる

メロウさの瞬間風速は一番高い