Somber Atmosphere

ドイツのブラックメタルの感想を載せています

Agrypnie - Aetas Cineris

お久しぶりです。一ヶ月以上間を空けるとは思ってなかった。


ドイツのブラックメタル、2013年作4thフル。Supreme Chaos Recordsよりリリース。このレーベルからのリリースは流通悪いのよねほんと。

ブラックメタル、と言ってしまうといささか語弊がある気がするAgrypnie。だがメタルとブラックメタルを上手く消化して新たなケミストリーを生んだ稀有なバンドの一つであろう。
彼らの特徴は、哀愁漂うアトモスフェリックなメロディを奏でるトレモロリフをベースにもザクザクしたメタリックなリフを組み入れ、聴き手の隙を突くところでブラスト疾走を入れるようなアヴァンギャルドな側面も見せた音を出すところだろう。悪い言い方をすればとてもニッチなところを突いている。だがそれがほんといいの…。

前作までは疾走メインの曲が多く、上述したような展開がよく聴かれたが、本作ではどちらかというと憂いのある質感で遅く重く展開する曲が主体。彼らの持つ哀愁さを前面に出す一つの形かもしれないが、個人的には前作までのように疾走展開が多い方がよかったなと。突如切り込むブラスト疾走展開が彼らのウリの一つだっただけに、それがきかれない(全くないとはいわないが)のは残念。

とはいえ彼らが持つ(所謂ジャーマンブラックとは違う)湿った質感を保ちつつもメロウに展開するところは相変わらずなので楽しめることは楽しめるのだが。
そういった意味では1曲目"Trummer/Aetas Cineris"が一番楽しめるか。ザクザクしたリフで疾走しだす"Zuruck"も新しい試みでいい。でもやはりスローな展開が主。聴き方によってはデプレにも聞こえなくもない。"Sinnflut"では昔の彼らを思い出すタイミングでのブラストが久しぶりに決まるからガッツポーズ。

というわけでこれまでのAgrypnieが好きな人も楽しめることは楽しめるけど、あのひねくれた疾走展開が好きだった人はちょっと肩透かしかもしれない。ほとんどスローな展開。非常にメロウで彼らの味は十分に出てるから、ダメということではないんだが。個人的には期待しすぎた。

かっこいいけどね勿論。