Somber Atmosphere

ドイツのブラックメタルの感想を載せています

Animo Aeger - Fieber

ドイツのブラックメタル、2012年作CDEP。AvskedやMisanthropic Path(解散がちょっと惜しい)の人が参加している。Ashen Productionsよりリリース。38分も収録されてるのになんでEP扱いなんだろう(素晴らしい)。No Coloursも見習え(25〜30分くらいでフルアルバムとして出すこと多い)。

前作「Impuls」ではAvskedやMisanthropic Pathで聴かれるような暗い展開が主であったが、本作では前作を踏襲しつつもプログレッシブな方向へ進化した。

1曲目"Die Gedanken ans Gefuge"で早速それを聴くことができる。前作のような暗く寒々しいトレモロリフ主導の疾走展開、メタリックなザクザクしたリフを入れた展開、UKのA Forest of Starsを彷彿とするスローテンポに怪しいクリーンVoで展開したりと、7分程度と短いながらも多様に展開する。
2曲目"Heufeuer: Man War Gewarnt"でもジャーマンブラックらしい湿ったメロウな展開に怪しいクリーンVoを乗せて進行。このギャップがとても新鮮。そしてブラスト疾走しそうでしないフェイントみたいな展開を経て雪崩れ込むブラスト展開が捻くれててかっこよし。

3曲目"Schabe und Kolkrabe Teilen Sich des Weltende"、4曲目"Zweifel"、6曲目"Der Letzte Diamant"では、これまでの曲に比べてプログレッシブさは控えめかつストイックなブラックメタルを披露。寒々しくも薄っすらメロウで地味で大変かっこよい。Eis(Geist)やFarsotを彷彿とする。"Zweifel"の方はラスト1分の展開が湿ったトレモロリフでドラマティックに突っ走る展開で胸が熱くなる。

序盤ではA Forest of Starsを思い出すプログレッシブさというかアヴァンギャルドさというか、その辺りを強く感じた。また後半はジャーマンブラックらしい王道展開を基軸にストイックにかつ緩急をうまくつけた曲である印象を受けた。あくまで根底にあるのはジャーマンブラックの寒々しい展開なあたりA Forest of Starsとは大きく違うのかなと。

Prophecy productionsが好きそうだけど、ちょっとUG臭がまだ強い気もする。吹っ切れてプログレッシブ方面に地味に完成度を高めていえばサブレーベルのLupus Loungeあたりから出てもおかしくない印象を受けた。

個人的にはこのまま行くとA Forest of Starsの二番煎じ扱いされそうなので、今の路線で完成度を高める方向に進んで欲しい気がする。地味なジャーマンブラックは正義です。


余談だがプログレッシブな方向に進んでいくバンド多い気がする。個人的な好みを言わせてもらうなら、こういう変化はウェルカムである一方、テクニカルさが先行しすぎて聴き手が緊張感感じるようなバンドにはならないことを願う。別に演者のテクを聴きたいわけじゃなし。


A Forest of Starsっぽい

こっちの方が好きかも