Somber Atmosphere

ドイツのブラックメタルの感想を載せています

Thyrgrim - Winterhall

ドイツのブラックメタル、2006年作1stフルレングス。10曲51分。某ヴァイキングのバンド名に似てるけど作風は全然違うから要注意。

近年の作品「Monument」では鬱系に傾倒したもの悲しげな雰囲気を打ち出した作風だが、今作1stはまだRawで荒削りな印象。

ところどころで聴かれる初期Odalのような薄っすらメロウなリフが聴かれ、ジャーマンプリミティブブラックの王道を追いかけてるかの如くの作風。2曲目"Falkenflug"や3曲目"Kaltetod"、7曲目"Heimat"などではそれが顕著に聴かれる。

またプリミティブブラックのそれのような単調な展開ではなく、4分〜5分程度の短い尺の中で展開する。寒々しく疾走するも途中ではゆったりとアルペジオを絡めた寂寥感溢れる展開を聴かせてくれたりし、単なるつまらないプリミティブブラックでは終わらせない。

また"Wenn es schneit"では現在の作風に近い鬱よりの胸を締め付けるメランコリックなトレモロリフが素晴らしい。スロー一辺倒にならず疾走も交えるあたりいい感じ。ただそれでも単調な印象を抱くので、尺をもう少し短くしてもよかったのかなとも思う。続く"In Den Waldern"では終始スローで展開する鬱系の音。この辺は最近の作風に近い印象。

とまぁ当時のジャーマンプリミティブブラックの潮流を吸収しつつも現在の鬱系寄りの音の片鱗を聴かせてくれる作品。ただ疾走するパートはどうしても荒削りな印象は拭えず、ドラムのドッタンドッタンなスネアの音が如何せんポンコツさを感じさせる。打ち込みじゃないだけ良いというか、ブラックメタルの初期衝動を聴かせてくれて悪くないが。

Thyrgrimの最近の作品が好みなら初期も楽しめると思うので、ワンコインで買えるなら試してみてもいいかもしれない。多くのリスナーにアピールできるような音ではない、いつも言ってるが、地味。だがそれがいい

オーソドックスなジャーマンプリミティブブラックね。