Somber Atmosphere

ドイツのブラックメタルの感想を載せています

Tauthr - Life-Losing

ドイツのブラックメタル、2010年作フルレングス。ドイツのVAN Recordsよりリリース。Endstilleのメンバのほとんどが絡んでるバンド。1997年のデモ以来およそ10年ぶりの作品。

アーカイブスではDeath/Black Metalになっているが、デスメタル要素はあまりないいぶし銀な渋いブラックメタル。低音のガナリVoではあるものの、バッキングはジャーマンブラックメタルのそれであり、薄っすらとメロウながらも寒々しさを感じられる。Endstilleのようなぶっ飛ばすサウンドかとおもいきやそんなことはなく、寒々しさが先行するスタイル。遅めのブラストに雪崩れ込むところがどこかAgrypnieあたりのひねくれた展開を彷彿とし隙を突かれる思い。

1曲目"Curse or Destiny"ではまさにそれを聴くことができ、どちらかというとミッドテンポ主体の曲でありながらも寒々しさを感じることができ大変素晴らしい。10分弱の曲でありながらあっという間に聴けてしまう、単調すぎず展開もしすぎずな完成度の高いブラックメタル。ラスト1分くらいのカエルのようなVoでグェグェいいながらブラストで疾走する展開で〆るのがかっこよすぎる。

3曲目"Perfect?"ではメタリックなザクザクリフとブラックメタルトレモロリフが共同作業しておりこれがなかなかどうして。ザクザクしすぎてメタリックな印象を持たせるかと思いきやそんなこともなく、あくまでブラックメタルらしさを十分感じさせているあたりいい塩梅で曲作ってるなぁと。

次曲"Memories"もやはり変則的なタイミングでブラストを入れてくるからそれがほんとにツボ。また疾走曲があまりないからか、タイトルトラック"Life-Losing"で聴かれるブラスト疾走が非常にかっこよく、さらにはドラマティックにさえ聴こえてきてなぜか涙腺を刺激して胸を締め付ける。

という感じでEndstilleっぽいかというとそんなことはなく、じっくりと寒々しくも地味に展開するブラックメタル。ジャーマンブラックなリフやメロが好きな人は楽しめると思う。完成度は間違いなく高い。ただミッドテンポに寒々しく展開する曲が主であるので、疾走展開を求める人には肩透かしだと思う。
こう一筋縄じゃ行かないけど基本を抑えてありかつ地味なあたりVANが好きそうな音だなぁと思ってしまう。地味だけど。

地味なのがいいっていつも言ってるだろ?