Somber Atmosphere

ドイツのブラックメタルの感想を載せています

Genocide - Eerie Evocation

ドイツのブラックメタル、2011年作2ndフルレングス。同じくドイツのVAN Recordsより300枚限定でリリースされた。カバー2曲を含む13曲で56分というボリューム。

歌詞のテーマがAnti-Christianity, War, Destruction, Decayなだけあって、オールドスクールに暴虐に疾走するブラックメタルがメイン。
オールドスクールで色気のないトレモロリフ、そして暴虐に疾走する様はWar raWと形容してもいいような勢いを感じるが、それだけでもなく、薄っすらメロウにジャーマンらしいメロを被せた疾走をしたりもして、いぶし銀の渋さ。タイトルトラックである2曲目"Eerie Evocation"ではラスト2分のメロウなトレモロリフが地味にメロウで素晴らしい。

続く3曲目"No Light at the End"もオールドスクールに疾走するが、2分半くらいからミッドテンポかつメロウに展開するパートを経て、また無骨に疾走する、なんというか一辺倒な展開にならないあたりにくい。
4曲目"Worldwide Genocide"あたりは勢いでヤケクソに突っ走るRAWブラックだが、これはこれでかっこいいんだよなぁもう。

曲数多いから全部を紹介する元気はないが、いずれもオールドスクールに疾走するスタイルがメインの、ほんと玄人好みのブラックメタル。時々気まぐれにメロウだったりするけど、基本的に無愛想。古いブラックメタルを貫き通してるとも言えるし、新しい風を取り入れてないともいえるし、どっちもどっち。ただやはりこの手の地味に疾走する展開は大好きだ。

とはいえ7曲目"Armageddon"で急に入るメロディックなジャーマンブラックな湿ったトレモロリフには驚かされる。8曲目"Dehumanized"、9曲目"Pure Manipulation"あたりは寒々しさと湿ったメロが同居した初期ジャーマンブラックのお手本のような曲であり、OdalやCamulosを思い出す。

なんというか、オールドスクールに暴虐にWar raWにやりたいんだ!っていう意志は感じるんだけど、でもやっぱりジャーマンブラックもかっこいいよね、ちょっと混ぜたいよね、ていう意図が見え隠れして、全力のWar raW勢に比べて吹っ切れてないという印象を感じる。でも私はどんな(できれば地味な)ジャーマンブラックも愛しているので、なんら問題はないのであった。むしろこのくらい地味な方が好みかもしれないと何度か聴き返して思った。

この曲なんかはヤケクソ疾走で通すタイプか。

この辺はRawに展開しつつも古いジャーマンブラックなリフが聴かれたりして好き。