Somber Atmosphere

ドイツのブラックメタルの感想を載せています

Vargsheim - Weltfremd

ドイツのブラックメタル、2010年作。デモ音源、スプリットに続いた待望の1stフルレングス。今は亡きドイツのDusterwald Produktionenよりリリース。メンバはあのImperium Dekadenzのライブサポートメンバでもある。

ドイツ産らしい哀愁漂う寒々しいトレモロリフ、緩急ついたテクニカルなドラム、絶叫Voが絡む。初期Odal直系のジャーマンブラックメタル

寒々しいトレモロリフとテクニカルなドラムが素晴らしい1曲目"Was mich leben lasst..."、2曲目"Nicht um zu sterben"は哀愁漂う湿ったトレモロリフ全開で琴線に触れる。初期Odalを彷彿とするメロウさでとても素晴らしい。メロウなリフは派手だけど、寒々しいトレモロリフがいい塩梅なので○。トレモロリフ主体の展開ではあるものの、メロウながらもメタリックなリフを刻む展開をはさんだりして、聴き手を飽きさせない。特に4分過ぎあたりの寒々しいトレモロリフはまさに初期Odalを彷彿。アトモスフェリックかつ寒々しいトレモロリフがで〆るラスト2分はほんとによい。

タイトルトラックの3曲目"Weltfremd"も同様に寒々しい展開、メタリックな展開と両軸で進行する感じで、疾走一辺倒にならずゆったりと展開するところもあり、一筋縄じゃいかない。これを7分ちょいの長さでプログレッシブさすら感じるほどのことをやってくるあたり曲構成がよく練られている印象を受ける。

4曲目"Fern der Heimat"はアコギ一本でしっとりと展開するトラック。チリのBaudaやフィンランドのOctober Fallsのフォーク音源を思い出す。

5曲目"Wenn sich unsere Klingen kreuzen"、6曲目"Wolfentod - Vom kampf im Dasein"あたりもこれまでのブラックメタルトラックと同様であり、「地味にメロウに寒々しい」と私の琴線に触れる三拍子が揃っていて文句なしに素晴らしい。特に5曲目の疾走パートの完成度は目を見張るものがある。6曲目の疾走パートが一番初期Odalな印象を受けた。かっこよくてかっこよくてほんとすごい。

ラストトラックはデモ音源に入ってた曲の再録。基本的に大きな変化はないけど、音質が向上してるかな。

曲構成が練られていると前述したものの、少し展開が多すぎで雑多な印象を受ける。一リスナーの私からすれば、そこまでひねくれずにもう少しストレートに疾走曲を聴かせて欲しかったとも思う。そう思ってしまうくらいに疾走パートが素晴らしすぎるのだ。各パートの完成度は非常に高いだけに、その部分が少し気になった。後半の曲の方がまだストレートな印象。

とはいえ、アンダーグラウンドジャーマンブラックのなかでも傑出した出来だと思うので、個人的には非常にオススメ。上でも挙げたように、Odal、Seelengreif、Imperium Dekadenzあたりが好きな人は間違いなく楽しめる。これらのバンドと同等の完成度には達していると思う。

タイトルトラックしかなかった。でもこれで十分このバンドがどんなものかわかるので、興味ある人は試しにどうぞ。