Somber Atmosphere

ドイツのブラックメタルの感想を載せています

Withered - Shores of Oblivion

ドイツのプログレッシブブラックデス、2010年作自主制作デモCD。3曲入りだけど30分弱あるのでボリュームは十分。

色気の無い無骨なトレモロリフで疾走し、グロウルとグリムVoの中間のようなVoでガナりたてるスタイルと言ってしまえばそれまでだが、時折薄っすらとメロウなリフを入れてくるのがとってもジャーマン。

所謂プログレッシブメタルほど展開はしないし演奏の緊張感もそこまでないが、たしかに展開は多いトレモロリフ主導の展開からドゥーミィーなスローテンポな展開になったりと、聴き手を飽きさせない(どの曲も10分近くあるし)。聴いている感じ、疾走展開よりもスローテンポで動く方が分かりやすいメロを奏でている気がする。またベースも程よく主張しておりとてもいい味を出している。スローにベース主導で展開するあたりから徐々にギターのトレモロリフが前に出てくるあたりがとてもかっこいい。この辺りの展開は3曲いずれでも感じることができる。

タイトルトラックである2曲目"Shores of Oblivion"は一番ジャーマンブラックらしいメロウなトレモロリフが主導な曲なのではと思う。でもやはりトレモロ主導で全編展開するわけもなく、デスメタルらしい重さも時折聴かれる。でも所謂デスメタルってよりもリフがデスメタルのそれを使ってるだけで、デスかっていうと違う気がしなくもない。この違和感はフィンランドのIkuinen Kaamosを聴いたときも感じた。とはいえやはりトレモロリフで薄っすらながらもメロウに展開するパートは非常に素晴らしく、派手すぎもなく地味すぎもなく、個人的な琴線に触れる曲。またこのようなメロウなパートだけじゃないのがにくい。アコギでスローに展開するパートを入れたりして聴き手を飽きさせない。そして残り2分で徐々にトレモロリフ主導にドラマティックに展開していく様は本当に素晴らしい。決して速くもなく、遅くもなく、でも薄っすらメロウで胸を締め付ける寂寥感すら感じるリフ。とても痺れる。

そして本作ラストを飾る"Destination:Neant"。Voはグロウルでスローにメロウに展開し、徐々にテンポアップしていく本曲。6分あたりから徐々に徐々にメロウにドラマティックに盛り上がりながら加速していく様は震える。でも本番はやはりラスト1分のメロディックにピロピロしながら疾走していくところ。徐々に加速し、トレモロリフで突っ走るところはほんとうおおお!とならざるをえない。

どのバンドに似ているかと言われるととても困る。ほどよくプログレッシブな気もするけどブラックメタルって言いたくなるようなほどでもなく、時々デスっぽくもあり、なんというか、とてもニッチなことをやっているバンドかと。やはり思い出すのがフィンランドのIkuinen Kaamosの「The Fall」時期。あそこまで完成度は高くないが、あのバンドのような一筋縄ではいかない感じがあり、とても好感が持てる。このままがんばってフルレングスを出して欲しいところであるが、某アーカイブスによるとOn Holdになっていて寂しい。

youtubeないみたいです。
死ねばいいのにね。