Somber Atmosphere

ドイツのブラックメタルの感想を載せています

Fyrnask - Bluostar

ドイツのブラックメタル、2011年作1stフルレングス。前は中国にいて今はスウェーデンかどっかに移住したオーナーがやってるTemple of Torturousよりリリースされた。
2010年にデモCDもリリースしているため、そちらも機会があれば感想を書きたいが、とりあえず今回は1stフルの方を。

ざっくり言うなら、ジャーマンブラックというよりは呪術的な雰囲気を前面に出したリチュアリスティックブラックメタルですね。スロー〜疾走展開、曲構成が非常に練られている印象。

イントロを経た2曲目"Evige Stier"は10分の大曲。寒々しくもあまり色気はなく地味に疾走するストレートなブラックメタル。疾走展開だけにならず、スローテンポに展開し、アルペジオを絡めたりクリーンVoを絡めたりして、リチュアリスティックな雰囲気を作っている。ラスト1分の薄っすらメロウなトレモロリフで突っ走る展開が素晴らしい。

ダークアンビエントな次曲"Eit Fjell Av Jern"に続く"Ein Eld I Djupna"では、スローなテンポからはじまり、うさんくs・・・いや呪術的な雰囲気をうまく作りながら展開。途中疾走も入るが、あくまで呪術的な怪しさを出すことに徹した曲か。"Bergar"も似たような曲。
"Ins Fenn"は本作で一番メロウなのではなかろうか、霞がかかった寂寥感溢れるメロウなトレモロリフが先行する素晴らしいジャーマンブラック。
タイトルトラックの"Bluostar"もスローテンポな曲調が支配的であるが、ラスト2分の疾走はやはりかっこよし。

なんというか、ブラックメタル=疾走 みたいな捉え方ではなく、あくまで呪術的な雰囲気を生み出すにはどうしたらいいか、に重きが置かれた曲作りがされている気がする。疾走展開もあくまで一つの武器にしか過ぎず、うまく効果的に利用しているに過ぎないのだろう。全体的に2010年のデモよりもクレバーな曲構成になっている印象を受けた。

某アーカイブスではこの手のアンダーグラウンドブラックメタルにしては珍しく5reviewsもついており、そして平均が80%と高評価。それも頷ける出来である。ただ聴いていて難解な印象を受けなくもないので、合わない人は合わないと思う。地味だし。

疾走〜スロー〜疾走。でも地味。