Somber Atmosphere

ドイツのブラックメタルの感想を載せています

Eis - Wetterkreuz

Alcestなどが在籍するProphecy productionsが擁するドイツのブラックメタル、Eisの2012年フル。彼らはこれまでGeistという名前で知られていたが、最近バンド名をEisに変更してしまった模様。それに際してProphecyより過去作もEis名義で再発されている。個人的にはGeistの方がしっくりくるんだが...。

さて彼らの作品だが、1stは日本語SEが入った曲があったりアヴァンギャルドなテイストがある寒々しいブラックメタルであった。そして作を重ねる毎に余計なものをそぎ落としていくかのように、ストイックなブラックメタルへ深化していった。特に前作"Galeere"ではそれが顕著で、一聴しただけでは地味と言っていいような作風であった。

して今作だが、これまで同様の渋いブラックメタルをやっている。メロディも控えめに無骨に神秘的に展開する。曲の長さは平均10分程度とそこまで長くないものの、展開が抱負で曲の構成がよく練られている。地味ながらも2曲目の"Auf kargen Klippen"や5曲目"Bei den Sternen"あたりでは、アトモスフェリックかつ荘厳に展開するパートが聴かれ、非常に素晴らしい。また今作ではノルウェイジャンブラックを彷彿とするところが多い。4曲目"Am Abgrund"あたりではそれが顕著。

さすが天下のProphecy productionsがリリースする作品、完成度は高いと感じた。だが上でも書いたように如何せん地味なので、多くのリスナーにはアピールできない気がする。なんというか、レーベルメイトであるSecret of the Moonあたりの地味さを思い出すところ。
ジャーマンブラックが大好きな人以外は手を出すと失敗する可能性があるが、個人的には相変わらずのGeist(じゃなくてEisか)で楽しめた。

"Bei den Sternen"。これか"Auf kargen Klippen"がよかった。