Somber Atmosphere

ドイツのブラックメタルの感想を載せています

2015年ベスト(ジャーマンブラック編)

2015年にリリースされたジャーマンブラックのベストを選出。

2015年リリース、再発を除く作品のみ。順不同。

 

* Der weg einer Freiheit - Stellar

満を持してリリースされた3rdフル。初期のメロディックブラックな路線は鳴りを潜め、よりストイックな方向に深化してきた彼らだが、本作では初期のスタイルが帰ってきた。とはいえ近作のモノクロームな深淵に沈み込むようなテイストは忘れず。特にラストトラック"Letzte Sonne"は数あるジャーマンブラックメタルの中でも傑作といえる出来。


* Eis - Bannstein

元Geistの3年ぶりの4thフル。前作ではストイックで地味ないぶし銀なブラックメタルを展開していたが、本作では前作よりもメロウな展開を入れるようになった。とはいえメロウになり過ぎずに最近の彼らの寒々しいサウンドは忘れず。絶妙な塩梅に仕立て上げた彼らにしかできない快作。自分の好みのど真ん中なサウンドで期待を裏切らない傑作。4曲目"Fern von Jarichs Garten"が最高すぎる。


* Hamleypa - Im Morgen von Einst

2010年にリリースされたEPで衝撃を受けたHamleypaによる待望の1stフル。今作ではポストブラックに傾倒してきた感があり、どこか洗練された印象を受ける。個人的にはEPの頃の湿り気全開のジャーマンブラックなサウンドが好みだが、とはいえ本作でも彼らの持ち味は聴かれる。湿り気溢れるトレモロリフ主体で疾走する彼らが持つ得意な展開はかっこいい。やはり素晴らしい。


* Infesting Swarm - Desolation Road

ポストブラックと形容されているが、やってるサウンドはストレートなメロディックブラック。ギターのメロウなトレモロリフ主体で疾走するスタイル。メロディアスかつドラマティックなリフが特徴で、個人的には派手すぎる印象を受けるが、どこか憂いがあるところが琴線に触れる。これは多くの人が楽しめると思う。


* Kaltetod - Zwang

ドイツ産の中でもストイックなサウンドを頑なに守っている愛すべきバンド。1stフルの"Leere"を聴いて衝撃を受けて以来、ずっと追いかけているKaltetodによる待望の3rdフル。相変わらずなモノクロームかつミニマルな展開で疾走する鬱屈した音を出すプリミティブブラックだが、今作も安定の出来。


* Secrets of the Moon - Sun

ベテランブラックメタルの新作。本作ではクリーンVo多めのダークメタルに傾倒してきた感だが、個人的にはこれまでの作品よりも表現力が拡がった印象を受け、ずっと好み。これまでの地味なシリアス路線を踏襲しつつも儚げな展開が増えた。快作だ。


* Slaktare - Journey into Darkness

女々しい鬱ブラックといえばこの人、Slaktareによる1stフルレングス。ようやくリリースされた。湿り気溢れる悲壮感漂う重厚なメロディが絶品の鬱ブラック。オールドスクールに展開する曲もあったが、あれはなにかの間違いに決まっている(現実逃避)。


* Vargsheim - Traeume der Schlaflosen

元はImperium Dekadenzのサポートメンバによるブラックメタルということで知ったVargsheimだが、今や3枚目のフルアルバムをリリースするほど活動歴は長い。初期のオーソドックスなスタイルから徐々にロックのエッセンスを組み入れるようになってきた。本作ではジャーマンブラックの湿り気溢れる展開とロックな展開を絶妙なバランスで構成した快作となっている。


* Vargnatt - Grausammler

クロノトリガーブラックで有名なVargnattさんがようやくフルレングスを出した。近年の陰りのあるメロウな展開を深化させ、より胸を締め付けるフレーズを入れるようになってきたと思う。初期の湿り気溢れる鬱ブラックとは大きく異なるが、やっぱり最高だった。

 

以下、次点。


Drengskapur - The Forest's Arcanum
Idisenfluch - Idisenfluch/Anachoret
Kerker - A Dime for the Black Faces

 

自分が大好きで昔から追いかけてきたいくつかのバンドが新譜をリリースしてくれた良い年であった。勿論初めて知った良質なバンドとも出会えた。2016年も素晴らしいジャーマンブラックと出会えますように。