Drengskapur / Heilnoz - The Forest's Arcanum
ドイツのブラックメタルDrengskapurとスペインのブラックメタルHeilnozのスプリット、2015年作。Drengskapur目当てでバンドより購入。Drengskapurは同郷のNemesis Soporとスプリットを出したりしたことで有名だろうか。スプリット相手にドイツ産じゃないバンドがいることは目を瞑ってくださいまし。
[Heilnoz]
スプリット相手のHeilnoz。こちらは7分くらいの曲を3曲とアウトロ的な曲1曲を収録。プログレッシブブラックのKathaarsysの元メンバが絡んでいるらしい。
し てこちらはミッドテンポでアトモスフェリックにゆったりと進行する鬱系よりのサウンド。遅めのブラストで疾走する展開もある。メランコリックでありながら 明るいメロディを奏でるギターがとても胸に沁みて切ない。2曲目や3曲目なんかは湿り気疾走展開多めでジャーマンブラックらしさを感じてかなり琴線に触れ る。特に後者の3分過ぎあたりの疾走展開はドラマティックかつメロウに展開して非常にかっこいい。裏でひっそり鳴るベースの音もとてもいい。
ミッドテンポに柔らかに展開するパートはイタリアのTrancelike Voidあたりに近いか。Drengskapurよりもずっと湿り気溢れるテイスト。
[Drengskapur]
Drengskapurは4曲。そのうち2曲がイントロ、アウトロ的なトラックで、メインは2曲。
1分ちょいのイントロを経た2曲目"Trug'risches Nass"は11分超の大曲。いつもどおりのDrengskapurを披露。北欧系を彷彿とする寒々しく疾走するパートに薄っすらと湿り気あるジャーマンブラックらしいリフを盛り込む展開。以前の作風ではペイガンブラックらしいフレーズが聴かれたが、本作ではどちらかというとよりストレートな印象。また同郷のVargsheimのようなロックテイスト溢れる展開を多用している印象を受ける。ラスト1分のやけに速いブラストで突っ走る様はとてもかっこいい。
続く"Des Waldes Quell"は前曲同様疾走曲だが、よりジャーマンブラックらしいトレモロリフが聴かれる。とはいえあくまで寒々しさが前面に押し出されているので、ジャーマンブラックな湿り気トレモロリフは裏でかすかに鳴っているだけだが(これが最高なんだ)。
一聴してペイガンブラックらしさは聴かれなくなったが、どこか荘厳さが感じられるところに昔のDrengskapurらしさを感じた。
寒々しい展開が多めでどちらかというと中の人がやってる別バンドのRimrunaに近い印象を受けるか。また寒々しく勢いよく突っ走る展開が同郷のThorngothあたりの印象を受けた。
ドイツのストイックなブラックだとKaltetodが代表的だと思うが、彼らとは別路線で寒々しく無骨に突っ走るDrengskapurはやはり自分の好みど真ん中なのであった。
というわけで、両バンド寒々しさを感じるわけだがそのベクトルが微妙に違っている印象。でもどちらもかっこいいサウンドで、良いスプリットだと思う。
trailerがあった。前半戦はHeilnoz、後半戦(5分過ぎあたりから)はDrengskapur。