Somber Atmosphere

ドイツのブラックメタルの感想を載せています

Vivus Humare - Einkehr

ご無沙汰しておりました。諸事情によりブログ更新できませんでした。
また細々とやって行こうかなと思います。



ドイツのブラックメタル、2015年作1stフル。同郷のEisenwaldからリリースされた。MosaicやSeremoniのメンバーが絡んでいる。

して内容は寒々しくも薄っすらメロウなトレモロリフで疾走するジャーマンブラックの王道のような...と思いきや不穏な空気も忘れない完成度の高いサウンド。

1曲目"Der Schmerz weckt"では疾走展開一辺倒にならず、不穏なメロディでスローに進行する展開も入り、一筋縄ではいかない。深淵に落ちていくような感覚は同郷のInfestusのそれに似た感じを受ける。ラスト3分くらいの悲しげながらも不穏な展開も○。このまま終わると思いきやラスト1分で再度不穏に突っ走るのもかっこよし。

1分弱のインストを経た3曲目"Auf morgendlichen Pfaden"、これが最高にかっこいい。1曲目よりも儚げかつメロウに、そしてドラマティックに疾走する。この儚げなトレモロリフが非常に琴線に触れる。5分半くらいからのより神秘的に展開する様は同郷のFarsotを思い出した。13分もある大曲だけど、全く飽きることなく聴き通せた。この感覚はFarsotの1stのラストトラック"Thematik: Trauer"を聴いたときの感覚だ。

そして本編のラストを飾るトラック、"Traum"。こちらも他のトラックに負けず劣らずの完成度。不穏な空気を保ちながらも要所要所で湿り気あるトレモロリフがなかなか聴かせる。

同じメンバーがやっているためか同郷のMosaicのそれに近い。また上述したように神秘的なところはFarsot、ストイックというか地味ながらも時折メロウなところはMembarisやWeird Fateにも近いと感じた。ざっくりいうならMembarisにOndskaptあたりの不穏さを注入した感じと形容すればいいか。

不穏な雰囲気は保ちつつもジャーマンブラックの枠から外れない、なんとも見事な完成度を誇る作品。これは良い。


13分あるけど飽きることなく聴き通せる。