Somber Atmosphere

ドイツのブラックメタルの感想を載せています

Helrunar - Sol I - Der Dorn im Nebel

ドイツのブラックメタル、2011年作。Prophecy productionsのサブレーベルLupus Loungeよりリリース。本作は実は「Sol」というタイトルで2枚組でリリースされている作品の一枚目にあたるわけだが、なぜか一枚目と二枚目が別々に発売されていたりもする。なぜだ。

Lupus Loungeが抱えるバンドはどれもこれも地味で色気がなく難しい方向に深化していくわけだが、その筆頭であるHelrunarも勿論そうである、地味。初期はもう少し色気があったのに。

オールドスクールトレモロリフ主体で疾走するスタイル。途中スローに重苦しく展開するも、難解な印象を強くするばかり。だがしかしスローな展開から邪悪に疾走するところあたりは、メロウなテイストも特にないのだが、なぜか心を掴まれる。
3曲目"Unter dem Gletscher"では、スローに重苦しく展開するが残り1分半くらいで突如転調し、疾走して閉じる。プログレッシブブラックと形容してもいいのではないかというくらいの、見事な展開美。ラスト2分で、前半だるだるだった曲の印象がガラリと変わった。
次曲"Nebelspinne"でも複雑な展開を魅せる。"Tiefer als der Tag"ではアコギを効果的に使うなど、曲に幅を持たせている。本曲でも転調してからの最後の疾走が素晴らしい。
ラストトラック"Ende 1.3"が一番メロウであり、寒々しさ、寂寥感も感じられ、素晴らしい。なんだかんだいってもやっぱりこういうトラックに惹かれてしまう。

というわけで、徹頭徹尾地味である。一聴しても何が良いのかわからないとも思う。でもなぜか何度聴いても飽きない。何度も聴きたくなる不思議。

レーベルメイトのSecret of the Moon、Eis(元Geist)、Farsotあたりの、地味ながらもじっくり練り込まれた曲を作るバンドが近いか。

Lupus Loungeが抱えるブラックメタルが好きな人は楽しめると思う。
表面上は地味ながらも完成度は高く、よくよく聴くととても聴かせる曲が多いので、じっくり聴いて欲しい。そのうち2枚目も紹介予定。

地味だけどラストの展開美が○。

本作で一番メロウ