Somber Atmosphere

ドイツのブラックメタルの感想を載せています

Nocti Vagus - Venture In Sombre Passion

ドイツのブラックメタル、1998年作、8曲53分。名盤を輩出した良質レーベルSolistitium Recordsよりリリース。アーカイブスによるとNordlys、Hornaのメンバ、Vargsang、Gravenのメンバが絡んでいた模様。

内容は劣悪な音質ながらも気持ち派手めのジャーマンブラックをプレイ。
ドイツ産らしい神秘的なトレモロリフ、アトモスフェリックなKeyが主体。ザラザラしたギターと浮遊感のあるKeyの対比がなかなか聴かせる。90年代後半から2000年代前半あたりのブラックメタルの空気感がどこか感じられる。
また要所要所で前面に出るギターのメロディックトレモロリフがドラマティックに展開する。湿ったテイストが○。
時代が時代だからか、Emperorの1stなどに代表される初期ノルウェイジャンブラックに近いリフを聴くこともできる。
ギターが主導である7曲目"Face Reality"が一番メロディックで聴かせる。

もう少し音質を良くして音の分離をよくしたら聴こえ方が変わってくるのかなぁとも感じた。この手の劣悪な音質でKeyを主におきながらもシンフォニックになりすぎないあたり、ブラジルのSpell Forestあたりをジャーマンブラックで味付けした感じと言えなくもない。また他の近いバンドとしては初期Nagelfarあたりも思い出した。

当時のブラックメタル黎明期におけるアンダーグラウンドブラックメタルを堪能できる作品。この頃から既にジャーマンブラックらしさは確立されつつあるのだなと感じた。


キラーチューン。今でも色褪せない素晴らしいブラックメタル