Somber Atmosphere

ドイツのブラックメタルの感想を載せています

Odium Immortalis - Die Schonheit der Einsamkeit

ドイツのブラックメタル、2004年作1stフル。9曲62分の大作。アーカイブスによると1枚のデモ、スプリット3作、そして本作フルレングスを1つ残して解散してしまった模様。

内容は初期Odalに近いブラックメタルをやっている。2000年代中盤によく聴かれたのメロウなジャーマンブラックメタルの範疇ではあるが、メロウながらも本バンドは憂鬱さを前面に推しだしている。鬱屈さを聴かせる曲ではなく、あくまで寂寥感、憂鬱感で涙腺を刺激する展開。

2曲目"Herdentier Mensch"で早速その様相を垣間見ることができる。メロウなトレモロリフを主軸にスロー〜ブラスト疾走と展開する。10分弱の大曲であるが、途中アルペジオにクリーンVoを載せたしっとりした展開を挟み、まさかのギターソロが入る。割と自由なことをやっている。音質こそはプリミティブブラックではあるが、ころころ展開するのでプログレッシブな印象も受ける。3曲目あたり"Moment der Erkenntnis"、4曲目"Ein neuer Tag"も同様のほんのりポンコツメロディックブラック。

5曲目の"Fruhling"を挟んだ6曲目から様相が変わる。タイトルトラック"Die Schonheit der Einsamkeit"は前半戦以上に寂寥感を強調するトラックとなっている。ミッドテンポ〜スローテンポに終始し、涙腺直撃なトレモロリフがたまらない。絶叫Voと曲の悲壮感との対比がすばらしい。
続く"Was bleibt..."、"Geisel der Menscheit"では絶望感とでも言うべき寂寥感がさらに追加され、最早鬱ブラックと形容してもいいトラック。こちらの方が彼らの持ち味なのではないかというくらい。後者のトラックでは前半戦のメロウな疾走展開も交えており、ラストに向けてメランコリックさが加速していくあたりに悶絶する。ステキなメランコリックブラック。

ギター途中弾けてなかったりドラムも薄っぺらかったりするものの、メロディのセンスはよかったりしたのでこっそり見守っていたのだが解散してしまい残念。本作と2003年の"Musikalisches Zusammenspiel"スプリット(ドイツのレーベルオーナーに探してもらった)しか所持していないため、全作手に入れたいところであるが難しいか。

近いバンドは、2000年代中期のジャーマンブラックメタルが好きなら文句なしだと思われる。前半戦は前述したように初期Odal、もしくはHeimdalls Wacht(ここまでくさくはないが)あたりであろうか。後半戦は同郷のNargarothの鬱ブラックトラック(たとえばBlack Metal Ist Kriegでいえば"Seven Tears are Flowing to the River"など。)が一番近い。前半はドイツ産にしては地味さ控えめの憂鬱メロディックブラック、後半は涙腺直撃メランコリックブラックと飽きずに楽しむことができる。

ロディックブラックメタルーーー

メランコリックブラックだけど疾走もするできる子