Somber Atmosphere

ドイツのブラックメタルの感想を載せています

Farsot - Insects

ドイツのブラックメタル、2011年作2nd。前作同様Prophecy productionsのサブレーベルLupus Loungeからリリースされた。

本バンドは前作"IIII"で華々しい?デビューを遂げ、ラストトラック"Thematik: Trauer"が20分の大曲ながらも素晴らしすぎると話題になった(主に私の中では)。

本バンドFarsotは、ドイツ産らしい神秘的かつ湿った雰囲気を保ちつつ、展開に起伏を持たせ、ときにメロディック(地味な部類かもしれないが)に展開して聴き手を悶絶させてました(多分)。ただあくまで主展開は地味で、レーベルメイトのEis(旧Geist)に近い作風。

して本作2ndは同様どころか、前作に輪をかけて難解というか地味というか、そんな感じに深化した。

1曲目"Like Flares of Rust"からその地味さを堪能できる。ブラックメタルとしての完成度の高さは伺えるのだが、いかんせんかなり地味(褒めてる)。

個人的に本作で一番のキラーチューンが2曲目の"Empyrean"。地味な展開が主でありながらも前作の名曲"Thematik: Trauer"に近い、神秘的かつ湿ったメロウなトレモロリフが支配的で非常にすばらしい。
またそのメロウな展開だけにならず、複雑に展開し、薄っすらプログレッシブさすら感じる。前作の名曲のようにもう一歩踏み込んでドラマティックに展開するパートを入れてくれたら大満足であっただけに少し惜しいなと思うが、完成度も高く、Farsotらしさを出した佳曲。

他の曲は地味である。地味である。もうちょっと飴(メロウさ)が欲しいなと思ってしまう。とはいえ5曲目"Admantine Chains"あたりは地味ながらも展開が豊富で楽しめた。また6曲目"The Vermilion Trail"は神秘的な側面が強くでておりジャーマンブラックメタル好きにアピールできる曲だなと。

聴いていて気になった点としては、ドラムが奥に引っ込んでいるのがもったいなく感じた。ブラスト展開入れてもスネアの音がろくに聴こえず、結局ドラマティックさを欠かしてしまっている印象を受けた。

とりあえずLupus Loungeが抱えるバンドが好きであれば楽しめると思う。地味になっているが根っこは変わっていないと思う。

レーベルメイトのSecret of the Moonの地味さをハイルしてるのか、レーベルの意向なのか、EisもFarsotもどんどん地味に。ブラックメタルとしての完成度は高くなっているし、私にとって地味は正義なのでまったく問題ないが、聴き手を選びそうなのは言うまでもない。


2曲目。本作で一番いい気がする

神秘的な側面が強い気がする