Somber Atmosphere

ドイツのブラックメタルの感想を載せています

Wandar - Vergessenes Wandern

ドイツのブラックメタル、自主制作2008年作CDEP。5曲24分半。メンバーの格好や歌詞のテーマから言ってペイガンブラックなのだろう。

ちなみにこちらからバンドにコンタクトして本EPを買った。このとき「CD代より送料の方が高くなっちゃうけど、いい?」と逆に心配されたのを覚えている。
また2012年に出た新譜(自主制作)も、バンドの方から声をかけていただいて購入した。

して本EPの曲としてはペイガンブラックらしい勇壮さは時折聴かれるものの、基本は地味でメロディックなジャーマンブラックをやっている。トレモロリフ主軸のブラックメタルであり、時折メタリックなリフを入れたりアコギを絡めたりする。

イントロを経た2曲目の"Eldar"がジャーマンブラックでも屈指の名曲なのである。憂いを帯びた湿ったメロディアスなトレモロリフで突っ走る王道アンダーグラウンドジャーマンブラック。曲途中に入る暑苦しい"ハイ!ハイ!"って掛け声もいいエッセンスになっている。
徐々に寂寥感を強めながら疾走していき、4分過ぎでの転調。ここからの展開が非常に素晴らしい。ロウグロウルで力強く歌うVo、ギターの強い寂寥感。胸を締め付けられる。
そして6分過ぎからのブラスト疾走の展開。今まで溜めたエネルギを爆発させるかのような、メロウながらも寂寥感が非常に強いトレモロリフが際立つとんでもない名曲。あのドラマティックな転調はブラックメタルどっぷりの人間にはできないと思う。

他曲も同様にメロウなトレモロリフで疾走する曲であり、途中メタリックにザクザクリフを入れてきたり聴き手を飽きさせない。曲のレベルはいずれも高い。
だがしかしやはり"Eldar"に比べると数段落ちる。それほどまでに"Eldar"が頭一つ抜けてカッコイイのである。

同郷のOdal系と言ってしまえばそれまでだが、Odalフォロワーの中でも"Eldar"のインパクトもあってかで頭一つ抜けてレベルが高い。2012年の新譜よりもメロディの爆発力は本EPの方が強い。

屈指の名曲。このメロディの爆発力は多くのブラックメタラーにアピールできる。