Somber Atmosphere

ドイツのブラックメタルの感想を載せています

Klabautamann - Der Ort

ドイツのブラックメタル。2005年作2nd。メンバがプログレメタルやらなにやら頭のいいバンドに参加してるせいだろうか、いまでこそプログレッシブで無愛想一辺倒な作風(09年、11年作とか)だが、1st、2ndの時期はまだアコギを効果的に利用したメロウなブラックをやっている。あぁでもプログレッシブな雰囲気はところどころで聴かれるか。

この時期のKlabautamannはなんといってもこのアコギの絡め方が秀逸。アコギ主体のしっとりとしたパートとノイジーなギター主導で展開するパート、その両者が合わさったパートがあり、それぞれ違った側面を同じ曲内で見せる。ドラムのブラスト&トレモロリフで疾走するところはメロウで湿ったジャーマンブラックのそれであり、一筋縄ではいかない印象を受ける。

1曲目のタイトルトラック"Der Ort"で十分にそれを堪能できる。また2曲目"Forlorn Sea"では更にアコギをフィーチャーしており、更にクリーンVoで歌うパートもあり、よりしっとりとした雰囲気とブラックメタルのノイジーな雰囲気が合わさっている印象を受ける。割と変拍子を多用するあたり、今の彼らのスタイルになっていくのは目に見えていたのだろう。

3曲目"Winternacht"もまた同様にメロウなブラックメタルなパートとアコギのしっとり展開が交互にやってくる。ただしトレモロリフ一辺倒にならず、突如ザクザク刻みだすメタリックなリフも登場し、突然の転調と、プログレッシブな側面がとても強いトラックだ。
4曲目"The River"も同様のスタイルではあるが、比較的ストレートなブラックメタルの印象が強い。やはり一辺倒にならず、アコギによるinterludeを挟む。こだわりなんでしょう。5曲目"Waldschrat"では低音グロウルを使用したりとデスメタリックな側面を見せたりもする。

とまぁアコギが重要な役割を果たすメロウなプログレッシブ風味なブラックメタル。この時代では新しいことをやっていたと思う。

実はラストトラックの"October"が私にとって一番の名曲だったりする。この曲は本当に大好きで、今でも1日に1度くらいの頻度で聴くほど。
この曲はメタル曲でもなく、女性の綺麗なクリーンVoが寂寥感が強いメロディにしっとりと載る感じの曲で、秋空の晴天を思い出せるほどとても爽やかなんだけれども、どことなく寂しく、悲しい。
冬の気配が感じられる晩秋の季節、雲一つ無い突き抜けるような青空の下で独り寂しく笑いながら空を見上げる感じ。聴いているだけで非常に切なくなって素晴らしい。大好き。

近い作品は、Ulverの1st、初期Wyrdといったフォーキッシュな雰囲気を組み入れたサウンド。この辺りが好みであり、鬱陶しいくらいアコギが出てくるメロウかつプログレッシブなブラックメタルが好きならば。


ところで余談だが、書き上げた後色んな人が既にレビューしてることに気づいて愕然としている。


プログレッシブな側面が一番強い気がする。

残念、"October"が見つからなかった...